家族葬の豆知識

検死

ほとんどの人たちが病院で最期を迎えると言われる昨今では、

それ以外の場所で亡くなるケースは決して多くはありません。

 

これには様々なケースが考えられますが、自宅であったり、

外出先での事故であったり、何かの事件に巻き込まれた場合などがあります。

 

病院で亡くなった場合は医師が死因を把握できますが、

それ以外の場合は死因を特定する作業が必要になります。

 

特に事件性が考えられる場合には検察が動き、遺体を検査します。

これが「検視」です。検視を行うのは検察官とされていますが、

「検視官」の資格があれば警察官でも行うことができます。

 

持病があってかかりつけの医師がいる場合や、事件性が考えられない場合には

直接医師に連絡して死因を特定してもらう「死体検案」を行いますが、

そうでない場合はまず警察に連絡します。検視が行われる基準は、主に以下の通りです。

 

事件性が考えられる場合

 

災害などで亡くなった場合

 

自殺した場合

 

交通事故などを含む事故で無くなった場合

 

孤独死などで死亡時間が不明な場合

 

このような場合は、刑事訴訟法229条に基づいて検視が行われます。

 

もし家族が事件性は無いと判断して医師を呼んでも、

医師側で事件性が考えられると判断した場合は検視が必要になり、

警察への連絡が必要になります。

 

警察は届出があれば住人の承諾なく住居に立ち入ることができますので、

遺族がこれを拒否することはできません。

 

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犯罪が原因でないことが明らかな場合には、警察官が「死体見分」を行います。

死体見分とは、死体取扱規則に基づいて行い、以下の内容を調査するものです。

内容を確認後、「死体見分調書」を作成し、死体が身元不明の場合には

「死者身元照会書」を作成し、死亡した市区町村に引き渡します。

実は検視には費用がかかります。検視料ではなく、遺体を検視場所に搬送する費用、

検視終了後安置場所、または葬儀場へ搬送する費用、死体検案書作成費用などの実費で、

基本的には遺族の負担となります。

 

金額は決まっておらず、依頼する業者によって大きく変動します。

搬送の距離が長ければその分費用もかかりますので、

中には数十万円になってしまうケースもあります。

 

遺体の引き渡しと共に請求書を渡され、驚く人も多いようです。

費用が気になる場合は、警察に目安を確認しておくと良いでしょう。

 

検案

死亡が確認された場合、役所に死亡届を提出して戸籍に反映させる必要があります。

 

死亡届を提出しないと埋葬や火葬の許可が下りず、年金や健康保険の支払いを

停止することもできないため、重要な手続きになります。

 

この死亡届提出時には、必ず死亡診断書、または死体検案書も併せて提出しなければ受理されません。

 

死亡診断書と死体検案書の違いについては「臨終からお葬式まで」でご紹介していますが、

実はどちらも同じ書式です。表題に「死亡診断書(死体検案書)」と記載されていますので、

どちらか不要な方を二重線で決して提出するようにします。

 

いずれも死亡届の用紙の右半分が提出書類となっており、必ず医師が記入しなければなりません。

 

病院で亡くなった場合は、死亡時刻や死因を病院側で把握できるため、

書類は問題なく作成できます。しかし、自宅やそれ以外で亡くなった場合、

死亡推定時刻や死因について医師が遺体の確認を行う必要があります。

これを検案、または死体検案と言います。

 

治療中の持病などがあり、医師が故人の病状を把握できている場合は

自宅以外で死亡した場合でも死亡診断書を作成することもあります。

 

しかし、通院も入院もしておらず、医師側で患者の状態が把握できていない場合は

遺体の検案を行い、異常死でない場合は死体検案書を作成します。

 

もし検案の上で死因がはっきりしなかったり、異常が認められたりした場合には

警察に依頼し、警察の管轄で検視を行う事になります。

 

 

 

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自宅、または病院以外の場所で亡くなった場合、

事件性が無ければまずは医師に連絡します。

 

かかりつけの医師がいる場合はその医師に、

いない場合は思い当たる病院などに連絡をしましょう。

 

死亡診断書については歯科医でも作成が可能ですが、

死体検案書は歯科医は作成できないとされています。

そのため、死体検案が目的の場合は歯科医以外の医師に依頼する必要があります。

 

もし死亡に事件性や異常が認められる場合には最初から警察が動くため、

遺族が医師と連絡を取る必要はありません。

 

事件性があるかどうか判断できない場合は、まず警察に連絡してみて下さい。

 

死体検案書の作成には費用がかかります。目安としては検案と書類の作成を

含めて2~7万円程度と考えておくと良いでしょう。

費用は一律でなく、依頼する医師によって異なります。

 

死亡診断書に比べると、死亡に至るまでの経過を把握できていないことと、

医師が遺体のある場所へ出張するためか、少し割高になるようです。

 

火葬許可書

日本の法律では、死亡または死産後24時間を経過しなければ火葬が

できないことになっていますが、期限については特に定められていません。
最近では「エンバーミング(記事にリンク)」などの技術が発達し、

数週間は遺体が腐敗しない状態を保てるようになりましたが、

長期間にわたって遺体を保存することはできないため、死後数日~数週間の間には火葬されるのが一般的です。
期限の定めはないからと言って、遺体を火葬も埋葬もしないで放置することはできません。

火葬後の遺骨を放置する行為(自宅で供養している場合は別)も併せて「死体遺棄」となりますので、

遺体については必ず法律に則って火葬・埋葬する必要があります。

家族、親族が死亡した後は、その死亡を知った日から七日以内に死亡届を役所に提出する必要があります。

(海外で死亡した場合は三か月以内)
そうすると、死亡届の受理と合わせて火葬許可証が交付されます。

葬儀社にお葬式を依頼している場合には葬儀社が代行して手続きを行なってくれます

葬儀社には依頼せず菩提寺や自宅でお葬式を行う場合には自信で手続きを行なう必要があります。

火葬許可証は遺体を火葬したり、墓地に埋葬したりする際に非常に重要な書類になりますので、

大切に保管して下さい。火葬を許可するのは自治体になりますので、

自治体によって書類の様式は異なりますが、内容は概ね変わりません。
火葬許可証を紛失してしまうと、火葬や埋葬を受付けてもらえなくなってしまいます。
葬儀社にお葬式を依頼した場合、火葬後に遺骨を受け取る際に手渡しされることが一般的です。

そのまま納骨まで、遺骨と一緒に保管すると安心です。

「火葬許可証」と「埋葬許可証」と表現を別にするために別の用紙だと

勘違いする人も多いですが、これは同じ用紙のことを指しています。
自治体によっては、「埋火葬許可証」と表現されていますが、

火葬前は火葬許可証として交付され、火葬場で火葬されたあとは埋葬許可証として墓地に渡す書類になります。
少し紛らわしい話になりますが、日本の法律では遺体を火葬することと墓地に埋葬することの両方が「火葬」と表現されています。
「埋葬」と表現しているのは土葬のことで、97~98%が火葬される日本では「埋葬」は殆どされないということになります。
そのため、火葬許可証が「埋火葬許可証」とされているのは、土葬が可能な地域がある自治体ということになります。
火葬しか許可されていない自治体では「火葬許可証」とだけ表記されていますが、埋葬許可証としても機能しますので注意が必要です。

火葬と同じく、遺骨を墓地に収める際にも届出が必要です。

「火葬許可証」または「埋火葬許可証」を納骨の際に墓地に提出すると、

墓地の管理側が市区町村に手続きを行なってくれますので、

書類をきちんと提出すれば遺族が役所に行って手続きを行なう必要はありません。

 

届出を行わずに無断で納骨をすることは違法行為となりますので注意が必要です。

 

火葬許可証を紛失してしまった場合は、役所に届出をすれば再発行してくれます。

万一紛失してしまった場合には、以下の注意点を確認の上役所に行って再発行を依頼して下さい。

エンバーミング

エンバーミングは、エンバーマーと言われる技術者が、故人の体液などを除去して防腐剤を入れることによって、数週間単位での長期保存が可能になる方法です。遺体の状態によっては、外傷がある箇所を修復する作業も行い、その後に整髪や化粧を施して表情を整えます。防腐剤を使用するという点は、シャワーを使って体の表面のみをきれいにする湯灌と大きく異なるところ

エンバーミングは、もともと土葬することが多い欧米で行われてきた方法で、土葬によって感染症が蔓延する問題を解消する手法として取り入れられています。湯灌や死化粧などのような1~2日しか維持できない保存方法とは違い、数週間単位での長期保存できる方法ですので、すぐにお葬式ができない場合でも、故人の体や顔を生きていた頃と同じようにきれいな状態で保存してあげることができるのです。また、海外で亡くなった方を日本へ帰す場合など、お葬式を行うまでに一週間以上の時間を必要とする場合にも役立ちます。

エンバーミングのもう一つの大きな利点は、ドライアイスを置いておく必要がない点です。ドライアイスの冷たさから解放することで凍えているかのように感じてしまう事もなくなり、故人がまるで安心して眠っているような状態にしてあげることができます。エンバーミングは、故人と最後の時間を過ごすご遺族の悲しみを和らげることにもつながります。

エンバーミングでは、見た目の修復作業と同時に防腐処理が施されます。感染の元となる体液が抜かれ、遺体の損壊や細菌増殖の進行を抑えることができるため、感染の心配がなくなります。よって、お子様やお年寄りの方等、免疫力が弱い方でも安心して体に触れることができ、心行くまで最期のお別れをすることができます。

気になるエンバーミングの費用ですが、15~25万円くらいが一般的とされています。金額は遺体の大きさや状態によっても変わりますが、これらの処置の金額は、日本遺体衛生保全協会(IFSA)によって定められているため、葬儀社によって大きな変動はないようです。金額の中には、往復の搬送費用、エンバーミングの施術費用、着せ替えとメイク費用、お葬式中の手直しサービスなどが含まれていますが、これらは葬儀社によって多少の違いがありますので、必ず明細をもらい確認しましょう。

エンバーミングの処置を施すことで、故人はさっぱりとした身なりで安らかな表情になり、まるで普通に寝ているかのような状態へと変化します。清潔な身なりになるのは湯灌でも同じですが、エンバーミングでは外見の修復作業を行うため、よりきれいな状態へと戻すことが可能です。また、臨終前はやせ細ってしまっていたり遺体に損傷があったりする場合でも、健康だった時の状態へと近づけてあげることができるのも、エンバーミングの良い点です。